【今月の言葉】

 「塵(ちり)を払い、垢(あか)を除かん。」

今月の言葉はNHKの「チコちゃんに叱られる」をヒントに決定いたしました。

問題 「なぜ学校では教室の掃除をするの?」

答え 「チューラパンタカみたいになって欲しいから」

ちなみに生徒自身が教室の掃除をするという文化があるのは日本、韓国、中国、シンガポール、エジプトなどごく少数だそうです。

解説は大東文化大学の山本宏樹准教授。問題のチューラパンタカとはお釈迦様の弟子の一人の名前。そもそも日本の学校で掃除が始まったとされているのは室町時代で当時の学校の役割を担っていたのはお寺。当然場所がお寺という事は読み書きの他に仏教のお経を通して人の道を説く、今でいう道徳のような授業内容も教えられていた。

そこで教材として使われていたのが「根本説一切有部経(こんぽんせついっさいうぶきょう)」そこには善い行いや教訓などが書かれていましたが、ここに登場するのがチューラパンタカ。彼は悟りを開いて阿羅漢(究極の悟りを開いた修行者の最高位)に達した人物でしたが、もともとは一文字覚えると一文字忘れてしまうほど勉学には疎い人だったという一面も。その昔お釈迦

様の弟子に賢くて努力家な兄のマハーパンタカ、そして物覚えの悪いダメダメな弟のチューラパンタカの兄弟がおり、チューラパンタカはお経が全く覚えられず他の弟子たちからはバカにされる存在。そんな弟をみかねた兄は仏道をあきらめて家に帰るように説得。兄の厳しい一言にショックを受けたチューラパンタカはお寺の前で泣き崩れてシクシク。するとそこへお釈迦様が現れ「塵を払い、垢を除かん。」と唱えながらお寺を掃除しなさいと助言。あくる日からチューラパンタカはその教えを守ってひたすら掃除に励む日々。そこから3年の月日が流れ、チューラパンタカはハッと気づくことに。「毎日掃除しても塵や垢は全く無くならない。そうか!これは心の塵、心の垢と同じなのだ!だから毎日心を磨き続けなくてはならないのだ!」

こうして他のお手本となるような立派な人物にまで成長したチューラパンタカなのでした。

こんなチューラパンタカのエピソードがもとになって掃除は仏教の修行の一環とみなされるように。これがお寺の学校で取り入れられて掃除を行うようになったというわけです。そんな習慣は江戸時代の寺子屋にも採用され、明治以降も現在に至るまで脈々と。ちなみに今回紹介された答えは学校掃除が始まった理由で、現在では「子供たちが協力して生活していく」という教育目的で掃除が行われています。