【今月の言葉】
みなさんは、食事のまえに「いただきます」と言われると思います。
仏教にも食作法(じきさほう)というものがあり、修行僧はその作法に則って食事をいただきます。
その第1が今月の言葉です。今これから口に入れようとしているお米や食材が、ここに至るまでの過程を深く考えます。毎日の料理は突然目の前に出てきたわけではありません。食材を揃えて、料理を作ってくれる方がいて、食材を仕入れて、提供している方がいます。そしてご飯や野菜などを育ててくれる人がいます。多くの人の手間や苦労があって、今食事をいただくことができているのです。自然の恵みがなければ作物も育ちません。すべての命が繋がって初めてご飯を口に入れることが出来るのです。
私が大好きな「餃子の王将」出町店が閉店しました。このお店の前には
「めし代のない人 お腹いっぱい
ただで食べさせてあげます。但し食後30分間お皿洗いをしていただきます。18歳以上の学生さんに限定」
という張り紙がありました。
経営者の井上定博さん(71)によると、「寂しいなあ。閉店の記事を書いてもらってからお客さんがすごい増えたわ。ずーっと忙しい。あっちこっちから元学生が来てくれる。『お世話になりました』言うてね。九州や四国に、広島や東京の子もいた。『土曜日や日曜日は混むやろ』と気を遣って、仕事休んで平日に来てくれる」と話しておられます。
元学生たちとどんな会話をしましたか?「(京都府立医科大が近いため)医者になった子が多かったな。『脳外科医になったからタダで診察したるで』『手術のときは俺が紹介したる』とか。弁護士もいた。坊さんもいた。『死んだらタダで拝んだる』って」
学生の心の中にはあの美味しい餃子の味と共に、経営者の優しさもしっかりと刻み込まれていました。