今月の言葉は、法句経(ほっくきょう)の一節です。法句経は、最古の仏教経典の一つで、その中には釈迦の直説が多く含まれていると言われています。法句経は、仏教の教えを短い詩節の形で伝えた、韻文のみからなる経典で今でも最も頻繁に読まれ、愛好され、影響を与えてきた教えです。

 (執着について教えです。)

 「それでは、人びとの憂い、悲しみ、苦しみ、もだえはどうして起こるのか。つまりそれは、人に執着があるからである。

 富に執着し、名誉利欲に執着し、悦楽に執着し、自分自身に執着する。この執着から苦しみ悩みが生まれる。

 この執着を押しつめてみると、人々の心のうちに、無明と貪愛とが見いだされる。無明は移り変わるもの姿に目が開けず、因果の道理に暗いことである。

貪愛とは、得ることの出来ないものを貪って、執着し愛着することである。」

釈尊が説かれた法の根本は、今風に言えば「自立と自覚」です。何物にも依存せず、生ずる全ての物事は自己の命に具わっている悪因(煩悩)に依るものである事を説かれている訳です。外に原因を求めず、自己の内に原因を探る行為が、仏道修行であり、その自己の因果と正面から対峙し、正しく律していく事を信仰の根幹としているのです。