【今月の言葉】 

およそ600年前、能を大成した世阿弥(ぜあみ)は、能楽に関するさまざまな文書を執筆していたことでも知られ、50歳半ばに書いた『花鏡(かきょう)』という伝書には「初心忘るべからず」という言葉を書き残しておられます。おそらく誰もが知っている言葉だとおもいますが、これが世阿弥の言葉だということを知らない方も多いのではないでしょうか。

 

 「是非の初心忘るべからず」

 

若い時の初心とは、具体的には245歳のころを言っています。

 

「自分は本当に天才なのかもしれない」と思ったりするわけですが、実はそれが壁なのだと世阿弥は言うのです。

 

「時々の初心忘るべからず」

 歳とともに、その時々に積み重ねていくものを、「時々の初心」ととらえています。「若い頃から、最盛期を経て、老年に至るまで、その時々にあった演じ方をすることが大切だ。

 

「老後の初心忘るべからず」

 

老齢期には老齢期にあった芸風を身につけることが「老後の初心」です。「老後になっても、初めて遭遇し、対応しなければならない試練がある。